レーザー脱毛とは?
最近よく雑誌やテレビのCM、様々なウェブサイトの広告等でも「レーザー脱毛」という文字や言葉を目にしたり耳にする機会が増えてきていますね。
「脱毛」という意味や行為は何となく知っている方でも、数種類ある脱毛方法の1つである「レーザー脱毛」のことをどのような脱毛方法なのかご存じない方が多いかと思います。
「レーザー」と聞くと光線的なものを用いた脱毛方法なのかな?と想像できるかもしれません。
そこで「レーザー脱毛」の原理や仕組み、レーザーの種類、メリット・デメリットなどの特徴からどのような方に向いているのかという所までしっかり解説していきたいと思います。
「レーザー脱毛」は、別名「医療脱毛」
「レーザー脱毛」は、別名「医療脱毛」とも呼ばれており、その名の通り医療行為に該当する脱毛方法になる為、医師が常駐している医療機関(クリニック等)でしか脱毛施術を受けることができないのです。というのも、2001年11月8日に厚労省医政局医事課長が各都道府県の衛生主管部(局)長宛に通達したもので、その中身には、『レーザー光線又はその他の強力なエネルギーを有する光線を毛根部分に照射し、毛乳頭、皮脂腺開口部等を破壊する』という脱毛方法は医療行為にあたるため、『医師免許を有しない者が業として行えば医師法第17条に違反する』と記されていたのです。
さらに、「最近、医師免許を有しない者が行った脱毛行為等が原因となって身体に被害を受けたという事例が報告されており、保険衛生上看過し得ない状況となっている」と、このような通達が行われた背景がしっかりと示されていました。
では、医師のみしかレーザー脱毛の施術を行う事ができないのか?というと、そうではないのです。医師の指示を受けた看護師であれば、レーザー脱毛の施術を行っても良いことになっています。
もし、医師の指示なく看護師自身の独断でレーザー脱毛の施術を行ってしまうと違法行為となり法律で罰せられることになります。これは「保健師助産師看護師法」の37条で、「保健師、助産師、看護師又は准看護師は、主治の医師又は歯科医師の指示があつた場合を除くほか、診療機械を使用し、医薬品を授与し、医薬品について指示をし、その他医師又は歯科医師が行うのでなければ衛生上危害を生ずるおそれのある行為をしてはならない」と明確に記されており、看護師は医師の指示がなければ、診療機械の使用や医薬品の受け渡しなどの行為はできないとしっかり定められているのです。
レーザー脱毛は医療行為
まとめると、「レーザー脱毛」という行為は、医師の常駐している医療機関にて医師本人、もしくは医師から指示を直接受けた看護師からの脱毛施術しか受けることは出来ないという事になります。
「レーザー脱毛」は医療行為であるという事がお分かり頂けましたでしょうか?
過去には医師免許を持たない、医師からの指示を受けていないにも関わらずお客様にレーザー脱毛での施術を行い、肌トラブル等を起こして逮捕されるというショッキングな事件も起きていました。
医療機関以外でレーザー脱毛を受けるのは絶対にやめましょう。
それでは「レーザー」脱毛とは具体的にどのような原理や仕組みで脱毛することができるのか?という部分について解説していきます。
レーザー脱毛の原理
レーザー脱毛で使用するレーザーとは、黒いもの(メラニン色素)にのみ反応する波長の長いレーザーを用いており、日本人の大多数を占めている黒い毛にのみ反応します。なので、黒色以外の毛である白や茶、金などといった毛には反応しません。反応しないという事は要するに脱毛することが出来ないのです。
脱毛を行いたいと思う部位(以下、脱毛部位)へ照射したレーザーは、メラニン色素に反応すると熱を発し、その熱が毛根部分に伝わることによって毛を生成する元の部分(組織)を破壊してしまいます。
しっかりと破壊することが出来れば、破壊された細胞は復活しないため、脱毛が完了するのです。
これがレーザー脱毛の仕組みとなっています。
毛以外の部分である皮膚などの組織には影響はないのか?と疑問を持たれるかと思いますがそこはご安心下さい。レーザー脱毛で用いるレーザーはメラニン色素にしか反応を示さないため、周囲の皮膚組織等には反応せず影響をもたらしません。
ただし、メラニン色素を多く持つ太い毛や、毛が密集していると部位に関しては周りの毛にも一気に反応する為痛みがかなり強くなってしまいます。
そのため、毛が太いVIOや陰部、毛が多く集まるヒゲ等をレーザー脱毛する場合は痛みが強くなるということを知っておくことが重要です。
レーザー脱毛の脱毛施術の流れ
続いてレーザー脱毛の脱毛施術の流れを大まかに解説していきます。
脱毛部位の剃毛
毛が長いままだと毛根にしっかり熱を伝えられなかったり、レーザーを照射することで焼けた毛が皮膚に接触する為、火傷等のリスクが発生してしまうのです。
脱毛部位を冷却後、レーザーを照射
照射部分はかなり熱くなるため、皮膚表面保護や痛み軽減を目的に冷却ジェルを塗布します。
お肌の消毒、冷却、保湿
照射終了後のお肌は熱を持ち乾燥状態になる為、しっかりと消毒、冷却、保湿を行います。
クリニックによっては、炎症予防のための薬を塗布することもあります。
照射後、数日から2週間程度で組織が破壊された毛が表面に押し上げられ、自然にスルっと抜け落ちてしまいます。しっかりと組織が破壊できていない毛に関しては抜けない可能性もあるので、無理にピンセット等で引き抜くことは決して行わないでください。毛周期(別記事参照)が乱れる原因となったり、埋没毛(別記事参照)になってしまう可能性があります。
実はレーザー脱毛にも複数の種類に分類することができ、それぞれに特徴が異なります。
レーザー脱毛を行う為に通おうと思っている医療機関によってはレーザーの種類が異なってくることがあるので、あらかじめ確認しておくことをお勧めします。
以下にレーザー脱毛の種類を解説していきます。
アレキサンドライトレーザー
今現在、日本の国内で多くの医療機関が導入しているレーザー脱毛の種類です。なぜこのような名前がついているかというと、「アレキサンドライト」という名の宝石を使用している所から付けられました。
「アレキサンドライト」を使用することにより、微妙かつ繊細な波長のレーザーを出すために必要とされるのです。
アレキサンドライトレーザーの大きな特徴としては、火傷防止や皮膚表面保護の為に肌へジェルを塗布していきますが、アレキサンドライトレーザーではレーザーを肌へ照射するのと同時に皮膚を冷却することも可能なのでジェルが不要になるのです。その為ジェルアレルギーをお持ちの方でも安心して施術を受けることができるのです。
ちなみに、アレキサンドライトレーザーでは755nmの波長のレーザーを使用しており、この波長では脱毛効果の期待だけではなく、シミやニキビ治療にも期待があるとされています。
上記の通り、良い面がある反面、日焼けをしているお肌や色素沈着をしている黒ずみ、ホクロには照射出来なかったり、施術時間が長くなることや、強い痛みを伴うなどのデメリットがあります。
ダイオードレーザー
ダイオードレーザー
ダイオードレーザーとは、半導体(ダウオード)を光源とした最先端のレーザー光です。
レーザーの波長に関しては、医療脱毛として使われる波長としては中間の810nmを使用しています。
この810nmという波長は、メラニン色素への吸収率が高いことや、レーザーの熱が毛根部に達しやすいこと、痛みが少ないなど、日本人の肌色や毛質にとても適したレーザーとなります。
また、ダイオードレーザーでは照射口が四角形の為、つなぎ目に隙間ができ辛い為、当て漏れのリスクも大幅に軽減されます。
このダイオードレーザーには細かく分類すると2種類に分けることができます。
HR式
HR式とは、メラニン色素にレーザーを反応させて脱毛効果を得る脱毛方法です。
毛の根元部分にある、毛を生成する元となる部分の組織を破壊して脱毛させます。
毛の太さ等に合わせてパルスの幅を調整し、アプローチすることができるので、産毛や細い毛に対しても有効になります。
効果の面では、下記で記述する蓄熱式(SHR式)には劣ってしまいます。
蓄熱式(SHR式)
黒い毛に含まれるメラニン色素に反応させて、毛を生成する元の部分を、熱を使って破壊してしまうのがレーザー式(HR式)でしたね。それに対して蓄熱式(SHR式)では「バルジ領域」を破壊して脱毛を行います。
聞きなれない「バルジ領域」についてですが、「バルジ領域」とは毛の元となる因子を作り出す領域のことを言い、毛根よりも表面に近い部分に少し膨れた部分があり、そこに存在しています。
バルジは英語だと「bulge」と表記され、日本語では「膨張」や「隆起」などの意味となります。
この膨らみで生成された毛の因子がやがて毛母細胞となり、毛細血管より栄養をもらい元気な毛へと成長していきます。
なので、この因子が作られる部分を直接破壊してしまおうという考え方が蓄熱式(SHR式)での脱毛方法なのです。
出力の低いレーザーの熱を少しずつ蓄積していき、脱毛を行っていきます。低出力なのでアレキサンドライトレーザーやYAG(ヤグ)レーザーに比べて痛みも少なく1秒間に照射できるショット数も多いので、施術時間を短くできることも特徴です。
また、蓄熱式(SHR式)では「バルジ領域」のみを狙ってアプローチをしていくので、日焼け等によって黒くなってしまったお肌や、メラニン色素を持たない白、茶、金髪等に対しても有効な脱毛方法となります。
他のレーザー脱毛方法では、毛周期(別記事参照)に合わせた脱毛が必要となってきますが、蓄熱式(SHR式)では「バルジ領域」のみにアプローチをかけていくので毛周期に関係なく脱毛を行え、他のレーザー脱毛に比べて早く施術が終わることが期待されているのです。
しかし最先端の技術ではある分、まだ十分なエビデンス(証明)がとれておらず、実績数も少ないのです。
YAG(ヤグ)レーザー
YAG(ヤグ)レーザーの歴史はレーザー脱毛の中で最も古く、開発されたのはなんと1960年頃なのです。アレキサンドライトレーザーが1996年頃、ダイオードレーザーが1998年頃になるので、かなり昔から用いられていたことが分かります。
YAG(ヤグ)レーザーでは1064nmのとても長い波長のレーザーを使用しており、レーザー脱毛の中で最も波長の長いレーザーになります。
これによってお肌の深い部分にまでレーザーの熱を届けることができるのです。春先や夏場等の日焼けなどによる肌の黒さに依存せずレーザーを照射することができ、効果としても高いですが、その分かなりの痛みを伴ってしまいます。
照射口の大きさもかなり小さい為、広い範囲の施術には向いておらず、時間がかかることにより痛みと戦う時間も必然的に長くなってしまいます。
回数の目安
脱毛を行うにあたって、どれくらいの回数が必要なのかというのは気になる所だと思います。
レーザー脱毛の場合、
5~7回:自己処理する回数が減少
5~7回程施術を行うと、初めと比べると毛量も半分以下位まで減り、自己処理による肌への負担も改善していきます。
8~10回:自己処理がほとんど必要なくなる
8~10回程の施術で、濃い毛というのはかなり減り、自己処理の必要がほとんど無くなってきます。
濃い毛が減ることで、青髭なども改善され清潔感もアップします。
10~15回:産毛もあまり気にならない状態
産毛に近くなると濃い毛に比べて色素が薄くなる為レーザーが反応しずらくなります。
産毛も気にならない位まで脱毛しようと思うと10回以上はかかる場合が多いです。
ある程度の目安をご説明致しましたが、もちろん個人差で回数というのは変わってくるものなので、自分に必要な回数が気になる方は直接クリニック等に行きカウンセリングを受けるのが良いでしょう。
レーザー脱毛の痛み
上記で説明した通り、レーザー脱毛にも様々な種類があり、多少痛みの感じ方は変わるのですが、やはりレーザー脱毛というのは出力が高い分かなりの痛みを伴います。
メンズ脱毛の中ではヒゲとVIOが特に痛みを感じやすいとされています。
ヒゲの中でも特に痛い箇所が
1位:鼻下
2位:あご・あご下
3位:頬
と言われています。
痛みを軽減させるために麻酔を使用できる所もありますので、無理に我慢せずに専門の方にしっかりと相談しながら脱毛を続けて行くことをおすすめします。
レーザー脱毛まとめ
ここまで、レーザー脱毛種類別の解説をしました。
レーザー脱毛についてまとめると、レーザー脱毛に用いるレーザー光線の出力は高く、医師や医師の指示を受けた看護師しか扱えないのでその分効果は高めですが、その分痛みが強いということを認識してください。特に男性特有であるヒゲや、体毛の濃い箇所については特に痛みが強くなり、なかなか通い続けるのが苦痛だという方もいらっしゃいます。
そして、レーザー脱毛には火傷などの皮膚トラブルのリスクが付きまといます。レーザー脱毛を行っているクリニックには、「肌トラブルの時は医師がすぐ対応できます」と一見すると安心材料にも見えますが、裏返せば肌トラブルが起きる可能性が十分にあり得るという事なのです。
レーザー脱毛をご希望される方は事前によく医師と相談し、しっかりアフターケアも行ってくれる、信頼のおけるクリニックでレーザー脱毛を行ってくださいね。